
Evgeny Yudin
著者
資格: International Health Access Consultant
役職: Founder of Pillintrip.com
会社: Pillintrip.com – International Health and Travel

はじめに
航空券を取り、荷物をまとめ、完璧な旅程を計画したのに……突然、発熱、悪寒、そして喉にヤスリを飲み込んだかと思うような痛み。旅行者や在日外国人にとって、インフルエンザはただの迷惑ごとではありません。フライトが遅れたり、出張が台無しになったり、日本ではおなじみでない薬のルールがある外国の病院に行くことになるかもしれません。
だからこそ、どのインフルエンザ薬が本当に効くのか、そして日本や海外でどうやって入手できるのかを知ることは、パスポートを持つのと同じくらい大切です。本記事では、タミフルやゾフルーザなどの抗ウイルス薬から、ほぼ世界中どこでも買える市販薬まで、渡航者のための効果的なインフルエンザ治療薬10選を紹介します。
なぜインフルエンザは旅行者にとってリスクなのか?
インフルエンザは冬の煩わしさだけではありません。旅行者や在日外国人には、最悪のタイミングで症状が出ることも。自宅にいる時と違い、海外では新しいウイルス、日本とは違う医療制度や、知らないブランドの薬しか置いていない薬局に出会うことが珍しくありません。
- 人混み:空港、電車、バス、ホステルなどは感染拡大の温床です。
- 免疫力低下:時差ボケ、睡眠不足、新しい気候が体力を落とします。
- 異なるウイルス株:世界保健機関(WHO)によると、インフルエンザウイルスは地域で異なります。
- 医療アクセスの壁:国によって抗ウイルス薬は要処方。日本でも要処方が一般的です。
だからこそ、事前の準備が重要です。どの薬が効果的で、現地でどう入手するかを知っていることは、つらい数日で済むか重大な医療トラブルになるかの分かれ道です。
旅行中にインフルエンザ症状を見分けるには
旅行中に最もやっかいなのは、ただの風邪か本格的なインフルエンザかを見分けること。これはとても大切です。なぜなら、タミフルのような抗ウイルス薬は、発症後48時間以内に使い始めてこそ効果があるからです。
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症状 |
普通の風邪 |
インフルエンザ |
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始まり方 |
ゆっくり |
急激(数時間以内) |
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発熱 |
まれに、軽度 |
よくみられる、高熱(38–40°C) |
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倦怠感 |
軽度 |
強い、数週間続くことも |
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筋肉痛 |
軽度 |
全身に強い痛み |
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咳 |
軽い、乾いた咳 |
乾いた咳が強い |
旅行中の方にとって鍵となるサインは、急な高熱と筋肉痛です。CDCによると、素早く症状に気付いて治療を開始することがとても重要です。
処方抗ウイルス薬:第一選択の治療
旅行者や在日外国人にとって、ただの風邪か本格的なインフルエンザかを見分けるのがなかなかの難題です。しかし、この違いが重要です。抗ウイルス薬(例:タミフル)は発症から48時間以内に始めると最も高い効果を発揮しますので、症状の早期把握が不可欠です。
1. オセルタミビル(タミフル)— 旅行者の命綱

インフルエンザ治療薬のゴールドスタンダード。経口薬で、症状の期間や合併症リスクを減らします。多くの国や日本でも取り扱われていますが、通常は処方が必要です。
アドバイス:海外で必要な場合は、英語または現地語の診断書を持参しましょう。
2. バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)— 一度きりの服用で便利

単回投与の抗ウイルス薬で、ウイルスの増殖をすばやく抑えます。日本国内でも認可されており、通院が難しい場合にも適しています。
3. ザナミビル(リレンザ)— 吸入タイプの選択肢

吸入薬として使われ、呼吸器に直接作用します。タミフルより呼吸症状の回復が早いとする研究も。
注意:正しい吸入が必要なので、体調不良時や宿泊先の設備によっては使いづらいです。
4. ペラミビル(ラピバブ)— 入院時の選択肢

重症や経口薬不可の場合に使われる点滴タイプの抗ウイルス薬。日本でも主に入院が必要な時に用いられます。
旅行者のための市販薬(OTC)での症状対策
海外では処方薬を入手できない場合も多くあります。特に現地の医師の処方が必要な場合、日本国内でも同様にOTC薬(市販薬)がフォローとして重要です。治療ではありませんが、回復を待つ間つらい症状の緩和に役立ちます。
5. イブプロフェン— 痛みや発熱に

日本や多くの国で一般的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)で、熱や頭痛、筋肉痛の緩和に使われます。多くの国で処方なしで買えますが、一部国ではパラセタモール(アセトアミノフェン)の方が入手しやすい場合があります。
💭 旅行者の声(Reddit): あるユーザーは「イブプロフェンは海外では意外と見つからない。だから常に携帯する。あと、Neosporin(抗生物質クリーム)とBenadryl(アレルギー用)も…」と投稿しています。
6. アセトアミノフェン(パラセタモール)— 安全な解熱剤

世界中で入手しやすい解熱鎮痛剤。日本でも市販薬としてよく使われています。商品名例:タイレノールなど。
7. デキストロメトルファン— 咳止め

長距離移動でつらい乾いた咳を抑えます。さまざまな風邪薬や総合感冒シロップに配合されています。
8. グアイフェネシン— 胸部の痰を和らげる

去痰薬として痰を薄め、咳を出しやすくします。睡眠時の息苦しさ対策にも役立ちます。
9. アスピリン— 抗炎症・抗ウイルス効果も

痛みや熱に効き、一部研究では抗ウイルス作用も示唆されています。注意:小児ではライ症候群リスクのため絶対に使いません。
10. クロルフェニラミンマレイン酸塩— 鼻水・鼻づまり対策

くしゃみ・鼻水を抑える昔からの抗ヒスタミン薬。作用は短いですが安価で、多くの国や日本国内で簡単に手に入ります。
海外でインフルエンザになった場合は?
いくら準備しても、旅行中にインフルエンザにかかることはあり得ます。朗報は、多くの人が体験談をシェアしてくれていること。その知恵を借りて事前に備えましょう。
💭 実際の体験談(Reddit):あるカップルが旅行フォーラムで「ブティックホテルに滞在中に彼女がインフルエンザに。ホテルに医師派遣をお願いしたら、本当に部屋に来てくれてタミフルのような薬を出してくれた。水分補給や休養をしっかり取り、旅行の終わりまでに全快した」と書いています。
これらの体験からも、現地のリソースを把握しておくことが大切だとわかります。ホテル、領事館、旅行保険窓口など、外国人の医療対応に慣れた医師につないでもらえることがあります。
海外でインフルエンザ薬を入手するには
- 現地のルールを確認:抗ウイルス薬はたいてい処方薬扱いです。
- 医師の診断書を持参:特にタミフルを求める場合に有効です。
- 薬局の対応を知る:多くの場合、薬剤師が市販薬の相談に乗ってくれます。
- レシートは保存:海外旅行保険で払い戻しできる場合も。
- 小型のインフルエンザ対策キットを持参:アセトアミノフェン、イブプロフェン、咳止め等。
💡 NHS Fit for Travelでも、市販薬を自分で準備しておくことが海外でインフルエンザ対策として推奨されています。
予防:旅行中の一番の武器

- ワクチン接種。CDCやWHOはシーズンごとのワクチンが最も有効としています。日本でも毎年秋に予防接種が推奨されています。
- 手指衛生。人混みでは手を洗う・消毒する習慣を。
- マスク着用。長距離移動や流行期は特に有効です。
- 十分な休養と水分摂取。疲れや脱水は免疫低下につながります。
- 感染者との接触を避ける。たったこれだけでも十分に効果があります。
まとめ・要点
インフルエンザはどれだけ計画した旅でも台無しにすることがありますが、対処法を知っていれば大きな問題にはなりません。症状を早く認識して、適切な薬や対策(抗ウイルス薬や市販薬)を知っていれば、他の旅行者より一歩リードできます。
旅行者や在日外国人なら、ワクチン接種・市販薬の携帯・現地医療のアクセス方法を知るという三本柱が楽しい旅の秘訣です。リアルな体験談が、少しの備えで大きなトラブルを回避できると教えてくれています。
👉 海外旅行中のインフルエンザ予防や対策をさらに知りたい方はこちら:インフルエンザ:旅行者・在日外国人向けの実践ガイド
安心して備え、元気に旅をお楽しみください!

