
Evgeny Yudin
著者
資格: International Health Access Consultant
役職: Founder of Pillintrip.com
会社: Pillintrip.com – International Health and Travel

はじめに
旅行はワクワクしますが、オゼンピック(セマグルチド)に頼っている方にとっては、薬の準備がストレス要因になることもあります。十分に冷やせるか?空港のセキュリティは問題ないか?薬を国際的に持ち出せるか?安心してください。少し準備をすれば、オゼンピックと一緒の旅は十分可能で、無理なくこなせます。このガイドでは、保存方法、持ち運び、必要書類、副作用の対応策、実際に体験した旅行者からのアドバイスを分かりやすくお伝えします。
旅行前の準備
出発(または飛行機搭乗)の前に、必ず主治医に相談しましょう。服薬スケジュールの確認、副作用への対応方法、そして治療内容を分かりやすく説明した診断書の用意をお願いしてください。書類は事前に準備しましょう。処方箋、医師の診断書(英語や渡航先の言語)、そして国境を越える場合は公的な翻訳書も必要になります。4〜6週間前から準備するのが理想的です。注射薬の持ち込みに公式な許可が必要な国もあるためです。
保管・温度管理
大原則:最初に開封するまで、オゼンピックは冷蔵庫(2~8℃)で保管してください。一度開封すれば、ある程度自由になります。ペン型注射器は室温(15〜30℃)で最大56日間保存できます。つまり、2ヶ月以内の旅行なら冷蔵庫がなくても大丈夫です(Reddit)。

ただし、暑い地域では要注意。多くの旅行者は4ALLFAMILYやFRIOのような専用保冷ケースをおすすめしています。12~30時間冷却効果があり、糖尿病や慢性疾患を持つ人々によって広く使われています。空港のセキュリティも問題なく通過できます(Reddit)。
また、冷蔵庫からすぐに注射すると痛みが出やすいと感じる人もいます。10分ほど常温に戻すと注射が和らぐという声もあります。
パッキングと空港セキュリティ

オゼンピックは必ず手荷物に入れてください。預け荷物は温度変化や紛失リスクが高いので避けましょう。保冷パックは医療用として申請すれば持ち込めます。セキュリティで検査されることもありますが、「医療目的」と伝えればスムーズです(Reddit)。英語の診断書があれば対応が早くなります。
オゼンピックペンのパッキング方法や、もし家に忘れてしまった場合の対応で悩んでいませんか?この短い動画では、経験豊かな医師が旅先でのオゼンピック取扱いポイントを分かりやすく解説しています。保管方法、空港での対策、万一の際の行動までシンプルに説明しています。さっとポイントを掴める映像解説は、詳細を読む前の予習として最適です。
宿泊先でのアドバイス
ホテルの部屋に冷蔵庫がない場合でも焦らないでください。多くの旅行者はフロントに頼んで、薬をキッチンの冷蔵庫に保管してもらっています。容器に名前と部屋番号を明記してください。世界中でよくあることです。避けたいのはミニバーやホステルの共用冷蔵庫です。薬が凍ったり他人に触られることがあるため、個人用保冷ケースの方が安心です(Reddit)。
法的要件と書類
国によってルールはさまざまです。アメリカ国内では簡単に持ち運びできます。TSAはオゼンピックを液体制限から免除しており、処方箋は推奨されますが必須ではありません。一方、ヨーロッパやアジアはもっと厳しい場合が多いです。下記の表で主要国の対応をまとめています。
各国別のルールと参照表
|
地域 / 国 |
認められる量 |
必要な書類 |
特記事項 |
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アメリカ |
国内線では制限なし |
処方箋は任意、医師の手紙が推奨される |
3-1-1液体ルールから免除、セキュリティで申告 |
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ドイツ / フランス / オーストリア / ベルギー / オランダ |
最大30日分 |
シェンゲン医療証明書、処方箋 |
20営業日前までに申請 |
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スウェーデン |
最大90日分 |
有効な処方箋 |
現地民はBankID、外国人は原本必須 |
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スイス |
最大90日分 |
処方箋 |
医療目的ではシェンゲン対象外 |
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イギリス |
最大90日分 |
処方箋+医師の手紙 |
ブレグジット後は税関チェックが厳しい |
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カナダ |
最大90日分 |
処方箋、ケベックでは仏訳も必要 |
可能なら英語・仏語両方で文書を用意 |
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オーストラリア |
最大3か月 |
処方箋+TGA書類 |
供給不足の場合あり |
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ニュージーランド |
私的処方のみ |
処方箋 |
高額:130~1000ドル/月 |
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日本 |
1か月分まで許可不要 |
処方箋、1か月超なら輸入許可証 |
長期滞在の場合は事前申請 |
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韓国 |
制限なし |
MFDS許可要 |
手続きが遅くなることも |
|
シンガポール |
最大3か月 |
処方箋、3か月超はHSA許可 |
空港での厳格なチェック |
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タイ |
最大30日分 |
医師の手紙、30日超なら税関申告 |
税関でレッドチャネル利用 |
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UAE / カタール |
ケースバイケース |
処方箋、元パッケージ要 |
規制薬に厳格。通常オゼンピックは許可 |
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メキシコ |
ケースバイケース |
スペイン語処方箋+医師の手紙 |
偽薬のリスク高。正規薬局のみ利用 |
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ブラジル / アルゼンチン |
最大90日分 |
処方箋、税関申告書 |
在庫に限りあり。予備プラン必須 |
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イタリア |
可変 |
処方箋 |
2024年は時折供給不足予想 |
重要なポイント:書類は必ず事前に用意し、薬は必ず元のパッケージで持ちましょう。不明点があれば、行き先国の大使館へ連絡しましょう。
旅先での副作用

旅行ストレスでオゼンピックの副作用が強く現れることがありますが、多くの人は簡単な工夫でうまくコントロールしています。
吐き気や乗り物酔い
もっとも多い悩みは吐き気です。長時間のフライトや揺れる車移動、不規則な食事が影響します。ジンジャーキャンディやミントティーが胃を落ち着かせると人気です。軽い間食をこまめに取るのも効果的。強い吐き気が出た際は、医師から緊急用の制吐薬をもらっておくと安心です。
脱水リスク
オゼンピックは喉の渇きを感じにくくするため、乾燥した機内や暑い気候では脱水しやすくなります。喉が渇いていなくても意識して水分を少しずつ摂りましょう。下痢や嘔吐が起こった場合は経口補水液や電解質パウダーが特に役立ちます。
消化トラブル
現地の料理を楽しむのも旅の醍醐味ですが、下痢や便秘につながることも。対策としては、オートミールやナッツなどの繊維質なおやつを持ち歩き、下痢止め(ロペラミド)や便秘には軽い下剤を用意しておくと安心です。水道水の品質が不安な国では、必ずボトル入りミネラルウォーターを選ぶという声も多くあります。
どんな時に受診すべき?
水分が全く取れない場合、重度の脱水症状(濃い尿・めまい・動悸)がある場合、持続的な腹痛がある場合は迷わず受診してください。保険証と薬リストを持っていると海外でも受付が早くなります。
時差に合わせた投与調整

オゼンピックは週1回なので調整に幅があります。投与間隔は最低でも48時間空けてください。もし1回忘れた場合、次回投与まで48時間以上あればすぐ使用し、48時間未満の場合は飛ばして構いません。大きな時差がある場合は出発前に主治医とプランを立てておきましょう。
長距離移動や代替交通手段
飛行機だけでなく、長時間の車移動でも注意が必要です。氷水を入れた水筒や小型のクーラーバッグにペンを入れて持ち運ぶ人が多いです。こうした工夫はRedditに多数報告されており、暑い車内でも効果があったそうです(Reddit)。
緊急時の備え
最悪の事態は考えたくありませんが、事前に備えておけば、もしもの時に安心です。
荷物の紛失や遅延
オゼンピックは絶対に預け入れず、必ず手荷物にしましょう。それでも予備のペンや注射針、書類コピーを別のバッグや同行者に預けておくと安心です。万が一の紛失でも治療を継続できます。
税関や国境でのトラブル
特に薬品の持ち込み規制が厳しい国では追加質問を受けることがあります。その際は冷静に処方箋や医師の書類を提示してください。現地語訳があるとさらにスムーズ。もし薬を没収された場合は大使館に連絡してください。場合によっては助けてくれることもあります。
予想外の遅延
フライトの欠航、不測の事態や一部地域の隔離措置など、予定外も起こりえます。最低1週間分余裕を持って薬を準備しましょう。長期旅行の場合は2つ以上のバッグに分けておくのもおすすめです。
海外での医療トラブル
現地の病院・クリニックの連絡先や住所を事前に調べてスマホや紙に控えておきましょう。持病(2型糖尿病/セマグルチド使用)や緊急連絡先を記入したカードを財布に入れておく人もいます。
保険のカバー範囲
既往症や薬の再発行までカバーする海外保険は、万が一の時に非常に頼りになります。盗難・破損・入院など、素早く解決できるか、何週間も悩まされるかの分かれ道です。
まとめ
オゼンピックと一緒の旅行は最初は不安かもしれませんが、きちんと準備すれば、他の荷物と同じように普通のことになります。適切な保存方法、必要な書類、そしてシンプルなバックアッププランを持っていれば安心です。多くの旅行者の体験談を参考にすれば、オゼンピックが旅の妨げになることはありません。むしろ整理上手な旅人になれるだけです。
よくある質問:オゼンピックと旅するには

1. オゼンピックはずっと冷蔵しておく必要がありますか?
必ずしもそうではありません。開封前は冷蔵(2~8℃)が必要ですが、開封後は室温(最大30℃)で56日まで保存可能です。2か月以内の旅なら冷やしっぱなしでなくても構いませんが、極端な高温は避けてください。
2. オゼンピックは飛行機に持ち込めますか?
はい。TSAやほとんどの空港で手荷物として持ち込めます。セキュリティチェックでは元のパッケージで申告し、保冷バッグも医療目的として持ち込めます。
3. 海外旅行にはどんな書類を持参すべきですか?
最低限:処方箋、病名や投与量の記載された医療証明書、非英語圏へ行く場合はその翻訳も必要です。一部の国(例:日本、ドイツなど)は追加許可を求める場合も。
4. 旅行中に投与を忘れたらどうすれば?
次回投与まで48時間以上空いていれば、気付いた時点ですぐに使いましょう。48時間未満なら飛ばしてスケジュールに戻ってOKです。
5. 海外で薬を失くしたり壊した場合は?
大使館に相談する、現地のクリニックや薬局を探す、医療保険で新たな薬を手配しましょう。緊急用に必ず予備のペンも持参してください。
重要ポイント
- オゼンピックは開封後、56日間室温で保存可能ですが、高温は避けてください。
- 必ず手荷物で持ち運び、必要なら保冷ケースを利用しましょう。
- 特に非英語圏への渡航時は書類を早めに準備しましょう。
- 予備ペンや翻訳書類、海外保険などバックアップの準備も忘れずに。
免責事項
本ガイドは情報提供用であり、医師の指示や診断の代わりにはなりません。治療や保管法、旅行計画の変更前は必ず医療機関にご相談ください。
参考文献
- FDA – オゼンピック(セマグルチド)処方情報
- CDC – 薬と一緒に旅する
- TSA – 糖尿病や薬を持っての旅
- EMA – オゼンピック製品情報
- Healthline – オゼンピックと一緒に旅する方法
- Diabetes.org – 旅行中の権利を知ろう

